《 私たちの提案 》

安倍政権の順序逆転政治シナリオの実行を阻止するには(改訂2版)

― 日本が、現行憲法の理念を守り、自らは武力を行使しない国であり続けるために ―

2015年7月9日

「原発を考える会・玉川学園」会員有志

文責 山 本 やすし

(yamamoto@olivenoyume.jp)

1.安倍政権の順序逆転政治シナリオの実行を阻止することを、私たちは訴えます

 私たちは、東電福島第一原発事故を契機に、“進化させよう! ハードエネルギー社会からソフトエネルギー社会へ”を目標にして、何ができるかを考え、活動しているグループです。

 ここで言う、ハードエネルギー社会とは、原発や化石燃料に依存することによって、環境を汚染し持続性を損なう社会のことです。ソフトエネルギー社会とは、省エネルギーに努めながら、太陽エネルギーをはじめとする自然エネルギーに依存し、環境を汚染しない持続可能な社会のことです。

 安倍政権は、憲法学者をはじめ多くの国民が違憲と考える一連の法律(安保法制)制定して、その後で、それらの法律が違憲とならないように、憲法を変えようとしています。なぜこのような順序逆転の政治シナリオが可能なのか、私たちは、大変疑問に思っていました。最近、その答に気付きました。

 それは、憲法に罰則が無いからです。憲法に罰則が無いことをいいことに、もし、安倍政権の政治家たちが、憲法第九十九条に定められている、国会議員の憲法擁護義務を無視したとしたら、このような順序逆転政治シナリオが、論理的には可能になります。

 安倍政権の政治家が、高いモラルを持っている人たちなら、このような政治シナリオを考えもしないし実行もしないはずです。

 しかし、私たちは、彼らのモラルの低さに、何度も幻滅させられています。

 例えば、安倍首相は、東京オリンピック招致の演説で、福島第一原発の放射能汚染水を、冷却水取水湾内に閉じ込めていて、完全に制御していると、公言しました。しかし、その後、海への汚染水漏れが発覚すると、菅官房長官は、状況が制御されているという意味であると詭弁を弄しました。

 菅官房長官は、64日(2015年)午後の記者会見で、同日午前に開かれた「衆院・憲法審査会」で、与野党それぞれから推薦され参考人として出席した人の憲法学者(長谷部恭男氏、小林節氏、笹田栄司氏)が三人共、集団的自衛権の行使は「憲法違反」であると答弁したことについて、記者から見解を尋ねられ、違憲とする見解は当らない、合憲とする著名な憲法学者も沢山いらっしゃると発言しました

 菅官房長官は、610日、集団的自衛権の行使を合憲とする沢山の憲法学者とは誰か、名前を挙げてほしいとの辻元清美議員の質問に対して三人の名前を挙げて、数ではない、最終的には最高裁判所が判断することであると逃げました。

 また、安倍首相は、今国会での安保法制審議の場で、「国民の生命と財産を守るために、安保法制が必要である」と何回も発言しています。先の大戦で、国民の生命と財産を武力で守れなかったことは明らかであるにもかかわらず。

 地上戦に曝された沖縄の多くの人たちの生命と財産を守れなかったではありませんか。東京をはじめとする多くの都市に住んでいた多くの人たちの生命と財産を無差別爆撃から守れなかったではありませんか。さらに、廣島と長崎に住んでいた多くの人たちの生命と財産を原爆から守れなかったではありませんか。

 このように、彼らは、平気で嘘を言い、嘘がばれたら詭弁を弄して逃げる。そのような政治家なら、順序逆転の政治シナリオを考え出し実行に移したとしても不思議ではありません。

 私たちは、野党の政治家の皆さんに、心ある官僚の皆さんに、マスコミの皆さんに、そして心ある国民の皆さんに、安倍政権による順序逆転政治シナリオの実行を阻止することを、訴えます。

 

2.安倍政権の順序逆転政治シナリオを検証する

 人を罰することができるのは、法律に違反したことについてだけであると、憲法に明記されています。(第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。)

 憲法に違反する法律はその効力を有しないとあります。(第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。) 

  ある法律が憲法に違反しているかどうかは、憲法学者が違憲であると指摘したり、私たち国民が違憲であると考えたりしたのではだめで、最高裁判所が判断しなければなりません。菅官房長官も言っていました。第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。) 

 国民から、ある法律が違憲ではないかと提訴されて、違憲か合憲かの判決が出るまでには、地方裁判所による一審、高等裁判所による二審を経て最高裁判所の判決を待たなければなりません(一審で違憲判決が出た場合、上告は最高裁)。大変時間がかかります。 

 さらに、その法律が違憲との判決が出たとしても、それを制定し政治家を罰する法律は無いので、彼らが罰せられることはありません

 憲法に罰則が無いということは、憲法が、道徳律と法律の間に存在して、道徳律に近いものであることを意味します。憲法は、道徳的規範として誠実に守られるべきものです。

 安倍政権の政治家たちが現行憲法を守らないことは、彼らは不誠実な人たちであるとの証明でもあります。

 政治家は、はじめから憲法に違反していない法律を制定しなければなりません。それが、憲法九十九条に定められている憲法の擁護義務です。第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 以上のことから、安倍政権は、現行憲法では明らかに違憲の法律を含む安保法制を何ら罰せられることなく、政権与党の数を頼りにして制定できます。

 安倍政権は、砂川事件最高裁判決(1959年)を現行憲法が集団的自衛権の行使を認めているとの論拠として準備していました。しかし、これは、国民を欺くための隠れ蓑です。憲法学者によると、この判決は、集団的自衛権の行使を合憲だとするものではないとのことです。

 国民から安保法制は違憲であると提訴されても、最高裁による判決が出るまでには時間がかかります。それまでに、安保法制が違憲にならないような憲法に改定します。そうすれば、安保法制は新憲法の下で有効であり続けます。

 これが、私たちが論理的に推論したところの、安倍政権の順序逆転政治シナリオです。


3.安倍政権による順序逆転政治シナリオの実行を三重のバリアーで阻止しよう

 安倍政権による順序逆転政治シナリオが論理的に可能なことがわかったので、それを実行させない方法を組み立てることができます。三重のバリアー(防壁)で阻止できます。


 (1) 一つ目のバリアー:安保法制を廃案に持ち込む

これは、野党政治家の皆さんが、現在努力を重ねられている方法です。衆議院での政権与党の数からすると、残念ながら、この方法で阻止できる可能性は小さいです。

しかし、国民の関心を、安保法制の危険性に向けさせるという大きな効果が期待できます。野党政治家の皆さんには、これからも頑張ってもらいたいと思います。


 (2) 二つ目のバリアー:安保法制の中の重要法案の違憲性を提訴する

一つ目のバリアーが突破された段階で、この方法を実行に移します。安保法制が国会を通過した時点で、この方法を実行することができるようになります。

これは、集団的自衛権の行使容認に反対する国民運動のいくつかのグループが、安保法制の中にある重要な法律を現行憲法に違反しているとして提訴する方法です。

多くの心ある憲法学者の皆さんが、安保法制は違憲であると発言されています。二人の元内閣法制局長官も「集団的自衛権の行使容認」は違憲であると国会で答弁されています。これらの発言と呼応して、多くの国民の皆さんが、安保法制に反対する運動を展開しています。私たちのグループも安保法制に反対しています。

このような状況は、最高裁が判決を出す時の、強力な判断材料になるはずです。最高裁は、十中八九、違憲判決を出すと思います。

違憲判決が出れば、安保法制は効力を失います。このバリアーで、安保法制を阻止できたことになります。

しかし、最高裁で違憲判決が出されるまでには時間がかかります。その間に、安倍政権は、憲法改定を実行に移すであろうと考えられます。

このバリアーも突破されることになるかも知れません。そうだとしても、このバリアーは、三つ目のバリアーを補強するものとして、大いに効果を発揮するはずです。


 (3) 三つ目のバリアー:安倍政権が提案する新憲法を国民投票で否決する

安倍政権のもう一つの狙いは、新憲法の中に、自民党憲法草案にある「緊急事態条項」を加えることではないかと言われています。これは、一般的には「国家緊急権」と呼ばれる条項(現行憲法にはありません)と同じもので、内閣総理大臣がこれを発動すれば、憲法の一部を停止できるというものです。ナチスドイツが使った政治手法だそうです。麻生副総理が、第二次安倍内閣の最初の記者会見で、民主的手続きで生まれたナチス独裁政権を見習えばよいと発言したことを思い出します。

「国家緊急権」は、クーデターを起こそうとする側にとっても、都合がよいものであると言われています。大変危険な条項です。

国民投票で、安倍政権が提案する危険な新憲法を否決しようではありませんか。

そうすれば、日本は、これからも末長く(100年を目指して)、自分からは武力を行使しない国であり続けることを、私たち国民が選択したことになります。

アメリカに対しても、集団的自衛権は、憲法によって行使できないことを、日本の民意であると説明することができます。

この三つ目のバリアーで、安倍政権の順序逆転政治シナリオを阻止するためには、考えなければならない二つの重要なことがあります。

一つは、野党政治家の皆さんが、民間運動グループの活動と軌を一にして、国民運動へと盛り上げていただきたいことです。それぞれの党は、それぞれ、党の理念を掲げています。しかし、今は、日本のピンチです。小異を捨てて大同につく行動をとっていただくことを切に望みます。5月(2015年)に行われた、大阪都構想に関する住民投票で示されたような大同団結を期待します。

二つは、多くの国民に納得してもらえる、日本の安全保障の枠組みを、現行憲法の下で示すことです。

この点について、私たちは、次のように考えます。

一般に、人を殺せば殺人罪に問われます。しかし、戦争で人を殺せば称えられ、勲章さえ与えらえます。この矛盾に、私たちは、大きな違和感を感じていました。

この文書をまとめるに当って、私たちは、戦争は悪だと言い切るべきだと考えるようになりました。現行憲法の理念にも当てはまります。

このように考えると、戦争を起こす国やテロリスト集団は、暴力団と何ら変わらない悪の組織です。

国家は、暴力団を押さえるために暴力団を使うでしょうか。当然、警察を使います。

警察は、武力を使うのは正当防衛に限ることに徹します。そこが軍隊と根本的に違うところです。

暴力団を押さえるのに暴力団を使っているのが、世界の現状です。

アメリカは、世界の警察を任じておきながら、イラクやアフガニスタンに於けるように、今や破綻状態です。そこで、日本に武力行使の片棒を担がせたいのがアメリカの本音ではないでしょうか。安倍政権は、やすやすとその誘いに乗ろうとしています。安倍政権は、アメリカとは別のことを考えているかも知れませんが。

アメリカの破綻は、暴力団を暴力団で取り締まろうとしているところに原因があります。双方が同じ土俵で争うので、負けた方は、悪かったとは思わないで、恨みを持ち、報復を考え、武力で再度挑戦します。そこに生まれるのはテロリズムだけです。

私たちの日本は、現行憲法を堅持して、可能なギリギリの拡張解釈で、現在、自衛隊を持ち、専守防衛に努めています。これは、国家の正当防衛です。この現状を私たちは認めます。現行憲法を守るということは、自分からは武力行使を一切しないということです。多くの国は、日本を信頼して付き合ってくれるはずです。

現行憲法下でこそ、多くの国の信頼を勝ち得ることができます。これこそが、日本の、最大の安全保証です。このことを国民の皆さんに説明して納得してもらいます。

国連のPKOは、世界の警察へと、日本が手本を示しながら進化させます。世界の平和を守るために。その暁には、日本は、“国連警察隊(仮称)”へ協力できるかも知れません。

国民投票で、安倍政権が提案する新憲法を否決しようではありませんか。

今の日本のピンチをチャンスに変えようではありませんか。

End


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憲法改定国民投票は来年7月の参議院選挙と同時ではなかろうか

201584

「原発を考える会・玉川学園」会員

山 本 やすし

(yamamoto@olivenoyume.jp)

 

 その後、調べていて気付いたことがあります。

  それは、安倍政権来年7月の参議院選挙と同時に与党が提案する「新憲法」の賛否を国民に問うのではないかということです。

  現在、衆議院では、憲法改正の発議に必要な2/3以上の賛成票数が確保されています。参議院でも、野党議員の何人かを強引に抱き込めば、2/3の票数を確保できるのではないかと思います。

 現行憲法に(第九章 改正 第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。)とあります。

 そして、国民投票法もすでに制定され、施行されています。準備は整っています。

 安倍政権は、今国会の参議院における審議で、60日ルールを使うまでもなく、採決によって、安保法制を通すことができます。

 今国会で安保法制を制定した後、安倍政権は、きっと、彼らの悲願である憲法改定に本腰を入れると思います。

 現に、「憲法改正を実現する1000万人ネットワーク」という改憲グループ

( https://kenpou1000.org/news/post.html?nid=15 )が動き出しています。

 現行憲法を守ろうとする私たちは、安保法制の違憲性を国民の皆さんに広く知ってもらう活動を、手を緩めることなく続けながら、今から、国民投票法に定められている国民投票運動について、研究しておく必要があります。

 End


憲法学者 小林節氏、安保法制に違憲訴訟を準備

20158月10

「原発を考える会・玉川学園」会員

山 本 やすし

(yamamoto@olivenoyume.jp)

 

 ハフィントンポスト日本版上で、吉野太一郎氏の記事(6月15日)に表題の件を見つけました。以下にその一部を引用します。


 「安倍政権が今国会で成立を目指す安全保障関連法案について、6月4日の衆院憲法審査会で憲法違反との認識を示した長谷部恭男・早稲田大学教授と、小林節・慶應義塾大学名誉教授が、15日に東京の日本外国特派員協会と日本記者クラブで会見し、集団的自衛権は明白な憲法違反であるとして、安倍政権の姿勢を強く批判した。


 弁護士でもある小林氏は、法案が成立して施行された場合、他の弁護士らと弁護団を結成し、ただちに違憲性を問う訴訟を起こすために準備していることを明らかにした。長谷部氏も、憲法上「重大な欠陥を含む」として、与党に法案の撤回を求めた。」

 

 詳しくは次のURLをご参照ください。

 http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/15/national-security-law-unconstitutional_n_7584650.html


私たちのホームページ http://genpatuwokangaerukai.jimdo.com/ も見てください。いままでに発行した会報(季刊)「四つ葉のクローバーのたより」がすべて掲載されています。